
JR東海は、N700S以来のフルモデルチェンジとなる次期新幹線車両「S0系」を製作すると発表しました。自動運転システム(GOA2)を搭載するほか、地震発生時の安全性や車内の利便性・快適性、環境性能を向上させます。営業運転は2029年7月の開始を予定しています。
S0系では、大きな荷物に対応する荷物置場の増設やグリーン車の座席・設備の充実、消費電力量の削減などを実施します。2028年8月には確認試験車を1編成投入する予定で、営業運転に向けて段階的に導入を進めます。
注目ポイント
- 次期新幹線車両の名称は「S0系」
N700系シリーズを超える革新的な車両として、東海道・山陽新幹線の新たな進化を表す名称を採用します。 - 自動運転システムGOA2を搭載
運転士が運転室に乗務する方式で、計画速度に基づく自動走行や定位置停止、遅延の回復を目指します。 - 地震検知からブレーキ開始までの時間を短縮
新たな早期地震検知システムなどにより、検知からブレーキ開始までの時間をN700Sと比べて約10分の1に短縮します。 - 荷物置場やグリーン車の設備を充実
デッキの荷物置場を6箇所から9箇所に増やすほか、グリーン車の座席やパウダーコーナーなどを改善します。 - 消費電力量を約6%削減
新たな先頭形状や自動運転、機器の効率化などにより、編成全体の消費電力量をN700Sと比較して約6%削減します。
次期新幹線車両「S0系」の概要
| 車両名 | S0系 |
|---|---|
| 開発・投入 | JR東海 |
| 位置付け | N700S以来のフルモデルチェンジとなる次期新幹線車両 |
| 確認試験車 | 2028年8月に1編成を投入予定 |
| 営業運転開始 | 2029年7月予定 |
| 投入計画 | 2029年度~2032年度上期に計25編成 |
「S0系」の名称は、現行のN700系シリーズを超える革新的な車両として、東海道・山陽新幹線の新たな進化の基点を表す「0」に、ShinkansenとSupremeの「S」を冠したものです。
S0系の投入計画
JR東海は、2029年度から2032年度上期にかけて、S0系を計25編成投入する計画です。
| 年度 | 投入編成数 |
|---|---|
| 2029年度 | 8編成 |
| 2030年度 | 7編成 |
| 2031年度 | 7編成 |
| 2032年度上期 | 3編成 |
| 合計 | 25編成 |
この計画とは別に、2028年8月には確認試験車を1編成投入する予定です。2032年度下期以降の投入計画については、現時点では未定としています。
既存のN700A・N700Sにも一部機能を追加
JR東海は、S0系の新機能の一部を追加するため、既存のN700AおよびN700Sにも改造工事を実施する予定です。また、グリーン車のサービス向上については、2027年12月以降に投入するN700Sの新製車両から先行して導入します。
自動運転システム「GOA2」を搭載
S0系では、運転士が運転室に乗務する自動運転システム「GOA2」を搭載します。ミリ波列車無線で受信したダイヤ情報などをもとに計画速度を設定し、安定した輸送サービスの提供を目指します。
計画速度に基づく自動走行と遅延回復
出発操作後は、設定した計画速度に従って自動走行し、定時到着と定位置停止を実現します。計画速度は省エネ運転となるよう設定されます。
走行中に急きょ徐行などが発生した場合も、ミリ波列車無線から受信した最新情報をもとに計画速度を自動更新し、回復運転を行うことで列車の遅れを最小化します。
ミリ波列車無線は、40GHz帯の電波を用いることで高速・大容量通信を可能にする通信方式です。
地震発生時の安全性を向上
S0系では、地震発生時に列車をより早く停止させるため、ミリ波列車無線を利用した早期地震検知システムを導入します。
- 地震検知からブレーキ開始までの時間を、N700Sと比較して約10分の1に短縮
- ブレーキ制御の改良により、地震時のブレーキ距離をN700Sと比較して約5%短縮
地震の検知からブレーキ開始までの時間を短縮するとともに、ブレーキ距離も短くすることで、安全性のさらなる向上を図ります。
グリーン車のサービスを充実

S0系では、利用者の多様なニーズに対応するため、グリーン車の座席や車内設備を改善します。
- 「多機能アームレスト座席」と「パーティション座席」の2タイプを用意
- 9号車のデッキ部にパウダーコーナーを新設
- 無料Wi-Fiサービスを拡充し、通信の安定性を改善
- フルアクティブダンパの制振制御を改良し、乗り心地を向上
- 座席のリクライニング可能角度を調整
- 跳ね上げ式フットレストを採用し、足元スペースを拡大
なお、グリーン車のサービス向上については、2027年12月以降に投入するN700Sの新製車両から先行して実施する予定です。
荷物置場やトイレなど普通車・グリーン車共通の設備も改善
普通車・グリーン車共通の設備についても、荷物の収納やトイレ、洗面所などの使いやすさを改善します。
大きな荷物を収納しやすく
スーツケースなどの大きな荷物を持って新幹線を利用する人の増加を踏まえ、デッキ部の荷物置場を従来の6箇所から9箇所に増設します。また、客室内の荷棚スペースも拡大し、大きな荷物を収納しやすくします。
トイレ・洗面所の使いやすさを向上
- デッキのレイアウトを刷新
- 女性専用トイレのスペースを拡大し、室内にベビーベッドを新設
- 男性専用トイレを引き戸化
- 洗面所の間口を拡大
荷物の収納スペースを増やすだけでなく、トイレや洗面所の使い勝手も改善し、より快適な車内環境を目指します。
新たな先頭形状や再生アルミ部材で環境性能を向上
S0系では、N700Sの先頭形状をさらに進化させた「ツイン リーメクス形」を採用します。先頭形状などの改良によって空気抵抗を低減するほか、自動運転や効率的な機器の搭載により、消費電力量の削減を図ります。
- 編成全体の消費電力量をN700Sと比較して約6%削減
- 新幹線車両に使用されていたアルミ部材をリサイクルした「再生アルミ部材」の使用範囲を拡大
- 車両の構体における再生アルミ部材の使用割合を約20%に向上
- 車体素材のほぼ全てをリサイクル可能なアルミ部材に統一し、水平リサイクルを推進
省エネルギー化に加え、車両に使用する素材のリサイクルを進めることで、環境負荷の低減を目指します。
まとめ
JR東海は、N700S以来のフルモデルチェンジとなる次期新幹線車両「S0系」を製作し、2029年7月の営業運転開始を目指します。
- 運転士が乗務する自動運転システム「GOA2」を搭載
- 地震検知からブレーキ開始までの時間を約10分の1に短縮
- 荷物置場の増設やグリーン車の設備改善で利便性・快適性を向上
- N700Sと比較して消費電力量を約6%削減
- 2029年度から2032年度上期に計25編成を投入予定
自動運転や地震対策、車内設備、環境性能を幅広く進化させるS0系。今後の確認試験車の投入や、営業運転開始に向けた動向にも注目です。(画像:JR東海)









